木川さんは戦友だ。
ガメラの頃、必殺技や新怪獣の武器や性能や秘密を散々でっち上げてきた。見て来たような嘘をベラベラと平気でついてきた。思い出すだけでも楽しい日々だ。
いい加減五十を過ぎて大人になったらそういうことから離れるはずなのに相も変わらずそんなことばかりやって来てもうこの歳だ、お互いに。ここまでやって治らないということは死ぬまで、あるいは死んでも治らないでしょう。お互いに。
つまるところ体は大人で中身は小学生、世を賑わす名探偵に逆らって真逆のカウンターを決めてます。
そして満を持して放つ一撃が東京西部在住者にしか直撃しない小ネタだけで一本の世界観をでっち上げて突っ走っています。
三つ子の魂百までとはこの事、これが男の生きザマよ。中身は小学生ですが。お互いに。東京西部在住者に限らず、ぜひに。

■樋口真嗣(ひぐちしんじ)
1965年9月22日東京都出身。1984年『ゴジラ』に造形助手として参加、以降、アニメ、実写を問わず様々な作品に参加。平成『ガメラ』三部作(1995~1999年)などで特撮監督を担当した後、『ローレライ』(2005年)から本格的な監督作品を打ち出していく。代表作に『日本沈没』(2006年)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』2部作(2015年)、『シン・ゴジラ』(2016年)、『ひそねとまそたん』(2018年)。